とっても小さなハムスター。
彼らの身体には、野生の環境下で生き残るための様々な機能が備わっています。
そして、ペット化したハムスターは、さらに独自の進化を遂げました。
今回は、野生とペットのハムスターの違いから、おハムと人間がうまくお付き合いしていく方法を共有します。
ハムスターの口。鋭い歯と強力なアゴのパワー。
ハムスターの口には、黄色っぽい歯が上下合わせて16本あります。
このうち、中央に上下2本ずつ生えている大きい歯は、門歯と呼ばれます。
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この門歯は、一生涯伸び続けるのですが、伸びすぎてしまうと口を閉じられなくなったり、上手く嚙合わせることが出来なくなったり、歯が邪魔で食べ物を口に入れられなくなってしまうということもあります。
また、伸びすぎた歯で口の中を怪我してしまう子もいます。
野生のハムスターであれば、生活の中で木をかじったり、堅い木の実を食べたりして自然と歯がちょうどいい長さに調整されるのですが、ペットのハムスターは、専用のかじり木や、固いペレットなどのエサを与えて、自分で削れるように注意してあげます。
しかし、中にはかじり木をあんまり使ってくれなかったり、堅いペレットを食べてくれない子もいます。
そうすると歯が伸びすぎて危険です。
もしも歯が伸びすぎてしまったり、曲がっていて噛み合わせが上手くいかない(不正咬合)ような場合には、動物病院で切ってもらいましょう。
不正咬合は、1度なってしまうと完治しないやっかいな症状です。
その他の疾患の原因ともなってしまいますので、歯の伸びすぎには注意してあげましょう。
驚異の収納力!ハムスターの神秘のほお袋。
ハムスターのほお袋は、口の内部左右についています。
その収納力は驚異的で、顔が変形するほど物を詰めることが出来ます。
野生では、エサや巣材になるものは、出会ったときに採っておかなければなりません。
ハムスターのほお袋は、大量の床材や食べ物を1度に巣に持ち帰ることができるため、野生生活では欠かせないのです。
え、えらいこっちゃ……ぱんぱんやがな……。
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ペットのハムスターも同様に、大容量のほお袋を持ちます。
ゴールデンハムスターだと、ひまわりの種なら片頬に50粒ずつで計100粒ぐらいほお袋に詰めちゃう剛の者もいます。
ジャンガリアンハムスターでも、片頬あたり30粒ずつの合計60粒ぐらい入る子もいます。
え、ワタクシもそんなに詰め込みはしませんよ!
ハムスターの耳は気持ちのバロメーター。特殊な聴力でパパのお声はシャットアウト!
一般的に、人間が聞き取れる音の範囲は20Hz~2万Hz程度です。
人間の聴力チェックでよく使われる「モスキート音」というのが、だいたい2万Hz程度です。
一方、ハムスターが聞こえる音域は1000Hz~5万Hz程度とされています。
つまり、ハムスターは、人間では聞き取れない高い音域を聞き取れる耳を持っています。
実は、ハムスター同士の会話は超音波で交わされているという説もあります。
野生のハムスターは、捕食動物や災害等から逃れるためにも、鋭い聴力を備えているのです。
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そんな高周波を聞くことのできるハムスターですが、逆に低音域はあまり聞こえていません。
人間と比べるとずいぶんと高音特化型なため、ハムスターは女性や子供の声は聞こえるけども男性の声は、場合によっては聞こえていません。
ここで、「うちのおハム、呼びかけても無視するんだ……」と、嘆いている世のおハムスキーな男子諸君に朗報です。
ハムスターはあなたたちを無視しているわけではなく、ただ声が聞こえていないのです!
また、ハムスターの耳は気持ちのバロメーターのひとつと言われています。
ハムスターの耳は良く動きます。
耳がピンと立っている時は、何か気になる音に聞き耳を立てている時です。
危険な状況か判断しようとしている時など、大きく耳を立てて、より多くの音を聞いて情報を集めようとしています。
なかには、飼い主さんがエサの袋をあける音に反応してお耳をピンと立てる、食いしん坊さんもたくさん居ます。
つまり、耳を立てているときは、集中して回りの様子を探っているのです。
反対に、耳をペタンと倒している時は、リラックスしている時です。
撫でられると耳を倒す子は、飼い主さんを信頼している証拠です。
耳が倒れている時間が長いほど、リラックスして過ごせるストレスの少ない環境ということになるので、よく観察してみましょう。
それから、ハムスターはたまに耳がしわくちゃな時があります。
これは寝起きです。
ハムスターは耳を畳んで眠るので、寝起きすぐの耳はしわくちゃです。
寝ぐせの様で、とてもキュートです。
嗅覚は人間の40倍以上。ハムスターは物探しの名探偵!?
実は、ハムスターは人間の40倍以上鼻が良いです。
この嗅覚で、食べ物を判別したり、縄張りを確認したり、相手が発情しているかなど、様々な物事を判断します。
野生生活では鼻が利くことが生存に直結するため、臭覚がとても発達しているのです。
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ペットのハムスターも当然鼻が利きますので、匂いで飼い主を判別できます。
たとえば、死角の位置に居ても、飼い主の場所はバレバレです。
ですが、ハムスターは鼻が利きすぎるため、人間は良い匂いと思っても、ハムスターにとっては不快感な場合もあります。
芳香剤、アロマ、お香、香水などは、ハムスターには香りが強すぎますので、使用には細心の注意が必要です。
匂いに関する注意がもうひとつ。
ペットのハムスターが出産したら、注意が必要です。
生後間もない赤ちゃんハムスターを人間が触ってしまうと、人間の匂いがついた赤ちゃんを、エサと間違えて母ハムが食べてしまうことがあります。
ですので、生後しばらくは赤ちゃんハムスターの育児は母ハムに任せて、人間は絶対に触らないようにしましょう。
とっても可愛いハムスターの目。でも実はあんまり見えてません。
目がクリクリのハムスターって、めちゃめちゃ可愛いですよね。
でも、実はハムスターは視力が良くなく、あまり見えていません。
特に黒目の子より、葡萄目や、赤目の子の方が視力が低いとされています。
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人間とは違い、ハムスターの目は横向きについています。
そのため、視野はとても広いです。
しかし、視力が良くないため、ぼんやりとしか見えていない様です。
また、目が横向きについている事で、物を立体的に見ることができません。
ですので、遠近感がわからず、高い所から飛び降りて怪我をしてしまう子がいたりもします。
そして、ハムスターは、視力が悪いだけではなく、色盲でもあります。
ハムスターは、白黒の2色でしか見えていないため、暗いところでも周りがよく見えます。
ハムスターは夜行性なので、野外活動においては、こちらの方が合理的です。
ペットのハムスターも、日中はほとんど寝て過ごし、夜になるとのそのそと活動を開始します。
ハムスターのヒゲは、距離だって測れるスーパーアンテナ!
ハムスターには、小さな身体の割にはとても立派なヒゲが生えています。
このヒゲは洞毛(どうもう)や感覚毛(かんかくもう)と言うもので、物事を感じることができるアンテナの役割を果たしています。
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ヒゲが周りに触れる事で、自分と物体との距離を測りながら動く事ができます。
ハムスターの目は立体視出来ないので、その代わりにヒゲがアンテナとして機能しているのです。
また、暗闇で動くことができるのもこのヒゲが距離を測ってくれているおかげです。
ハムスターの皮膚は柔軟性抜群。体毛は身体を守るバリア機能付。
ハムスターの体毛はとても柔らかいです。
撫でるとそのふわふわさ加減に震えます。
そして、少しの光沢があり、とても綺麗です。
また、ハムスターの体毛は、少しの水であれば弾くこともです。
水が苦手なおハムにとっては、重要なバリアなのです。
また、ハムスターの皮膚はとても柔らかく、特に首の後ろや背中はよく伸びます。
母ハムが赤ちゃんハムスターを運ぶとき、首の後ろの皮膚を咥えます。ここが伸びるのを知っているのです。
その時の名残で、ハムスターは首の後ろを掴まれると、じっとする習性が大人になっても残っています。
お薬をつける時や、臭腺のお手入れをする時など、少しじっとしていて欲しい時には試してみても良いかもしれません。
ですが、長時間はストレスになるので注意してください。
ハムスターの足は前後で指の数が違う!小っちゃくて可愛い足としっぽ
ハムスターは、前足と後足で指の数が異なります。
前足は指が4本、後足は指が5本になっています。
そして、ドワーフハムスターは足に毛が生えていますが、ゴールデンハムスターは足に毛が生えていません。
しっぽも足と同様に、ドワーフハムスターには毛がありますが、ゴールデンハムスターには毛がありません。
ハムスターは木に登らないためしっぽはあまり発達していません。
人間とは違う機能が極小ボディにたっぷりつまったハムちゃん達の身体。
まるで精密機械のように、とてもデリケートです。
丁寧に優しく接してあげなければなりませんね。